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森川眞行ブログ

潤沢な紙

僕が鉄人28号を好きだった理由のひとつに「描きやすい」というのが挙げられる。子供の頃は鉄人の絵ばかり書いていた。曲線が多い鉄腕アトムより、プリミティブな立方体を組み合わせた鉄人28号は描きやすかった。でも、実際には表情が変化しない鉄人28号に比べて、まるで人間のようにイロイロな表情をする鉄腕アトムが苦手ってことだったんだろうね。子供頃からずっと絵を描いていた。それには理由がある。

「そこに紙があったから」

母親が紙問屋の娘だったこともあり、貧乏な我が家にも『紙』だけは潤沢にあったのだ。前回も書いたけど、母親の実家は紙問屋。もともとはローソクや線香を売っていたらしい(江戸時代は)。そこから紙を扱うようになり、それは文具になった。

問屋としての得意先は田舎の小売店。いわゆる「よろずや」と呼ばれる何でも売っている店。そこに商品を卸すことで、ローソクや紙、文具だけでなく、洗剤や石けんなどの日用品も扱っていたみたいだ。要するに食品以外のモノだ。

幼い頃から紙と鉛筆は潤沢にあった。何年も売れなくてホコリをかぶったり、日に焼けてしまったノートや鉛筆(母親はその状態を「風邪ひいている」と呼んでいた)は、生まれたときから、いつも周囲にあった。風邪をひいたノートにぐちゃぐちゃと落書きばかりして育ってきた。年に何回か親戚の家から売り物にならなくなった(でも使える)商品が何回か送られてきたのを覚えている。

今の子供がアンパンマンはドラえもんの落書きをするように、僕も鉄人やアトムの落書きをしきてた。他の子供よりも絶対的な数量として、描いてきた枚数が多いわけだから、当然それなりに器用にもなる。

母親をはじめとする大人に「上手に描けたわね」と言われると、子供はまた調子に乗って描くのだ。描いて描いて、描きまくる毎日だった。

ちなみに、今でも鉄人28号はホイホイ描けてしまう。
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