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森川眞行ブログ

Ain't Talkin' 'Bout Love/Van Halen

邦題は「叶わぬ賭け」。1978年にリリースされたファーストアルバム「炎の導火線」の4曲目。1978年と言えば、大阪芸大の美術学科に入学した年である。当時の僕が聞いていた音楽は、パンクやニューウェーブ。というか、それ以外は音楽ではない…と思っていた。

パンクロックが出現してきた背景は、ディープパープルなどに代表されるハードロックや、音楽が産業化して大量に消費される時代へのアンチテーゼだったように思う。もともとは反抗の象徴だった、男のロングヘアはこの時代では、オールドウェーブとして扱われたし、自由の象徴としてヒッピー文化を中心に蓄えていた髭も侮蔑の対象だった。かつての価値観に別れを告げ…というか、かつての価値観を憎悪の対象して、何か新らしいものを自分たちの手で創っていこう…という姿勢がパンクロックだった。

大学に入学したばかりの僕は、マルセル・デュシャンやダダイスト達。あるいはポロック以降の現代美術を学びたかったこともあり、モノ作りをする価値観で、もっともプライオリティが高いものとして考えていたことが「新しい価値の創造」みたいなものだった。

なんだかいま「新しい価値の創造」なんて文言を書くと、情けないベンチャー会社の負け惜しみみたいだけど、当時は真面目にそう思っていた。若かったのだ。なんせ20歳にもなっていなかったのだから。

そういう状況下で、ハードロックというだけで、どんな音楽も嘲笑の対象だった。実はレッド・ツェッペリンもエアロスミスも好きだったし、モントローズやスコーピオンズも好きだったけど、トモダチには「そんな音楽を聞いているのはアホだ」とか言っていた。実際にアホだったのは、どっちだったのか…と今考えると明確だけど。

まあ、ハードロックはクソ。みたいなコトを言っておきながら、それでも70年代の後半に出て来た若いバンドに対しては、若い故に過去のハードロックとは異なり、新しい価値がある…などと言って、チープトリッックみたいなバンドは「イケてる」とか言うことはあった。その中にヴァン・ヘイレンがあった。

しかしながら、本当のことを書くとヴァン・ヘイレンは画期的だったと思う。当時では考えられない斬新なギターテクニックを考えると、十分にパンクだったと思う。新しい価値観の創造なのだ。いや…実際には画期的というよりは衝撃的だったと言ったほうがよい。最初に針をおろして二曲目のエディのソロである「暗闇の爆撃」を聞いたときは、思わず「なんじゃこれ!」と呟いた。


そのファーストアルバムで最も好きだったのが、この曲。なによりイントロのリフにノックアウトされる。このアルバムはおなじ大学で、パンクを熱心に聞いていない音楽ファンの中で大いにウケた。みんなこのアルバムを買ったと思う。そして、みんなこの曲が好きだった。3曲目の「ユー・リアリー・ガット・ミー」と「叶わぬ賭け」は、学校の中で行われるコンパや宴会でよく演奏された。みんなあのイントロを弾きたかったのである。

この曲を演奏する際には、ディストーション以外にフランジャーが必要だった。イントロの二小節目の終わりで、カチン!とフランジャーのスイッチを入れる。ギューンキューン!とジェットマシンのようなディストーションにみんなシビれたのだ。

1978年という、世界がパンクロックを評価している時代に、こっそりパンクスに受け入れられていたヴァン・ヘイレンは偉大だと思う。
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